2026/08/20

カスタマーサクセスのKPI 主要10指標と設定手順

「解約は減っているはずなのに、何をした結果なのか説明できない」「指標を並べてみたものの、誰も見ていない」。カスタマーサクセスのKPI設計を任された担当者が、最初に突き当たるのがこの2つです。

カスタマーサクセスのKPIは、継続・収益・体験・活用という4つの系統に整理すると選びやすくなります。そして指標を何個並べたかではなく、悪化したときに誰が動くかまで決まっているかで成否が分かれます。本記事では主要10指標の計算式と見るタイミング、フェーズ別の選び方、そして多くの解説記事が飛ばしている「その指標をどうやって集めるか」まで解説します。

10指標の一覧表とフェーズ別の使い分けは前半に、集め方の実務は後半にまとめています。急ぐ方は目次からお進みください。

目次

・カスタマーサクセスのKPIとは

 ・KGIとKPIはどう違う?

 ・カスタマーサポートのKPIとは何が違う?

・カスタマーサクセスの主要KPI10選

 ・継続系の3指標をどう使い分けるか

 ・収益系はカスタマーサクセスの投資判断に使う

 ・ヘルススコアで複数の指標をまとめる

 ・体験系は「いつ聞くか」で意味が変わる

・フェーズ別に見るべきKPIの選び方

・KPI設定でつまずく3つの落とし穴

・・指標を増やしすぎて追えなくなる

 ・取れないデータをKPIに置いてしまう

 ・解約が起きてから気づく

・指標をどうやって集めるか?

 ・アンケートの回収率が上がらないのはなぜか?

 ・電話窓口はKPIの先行指標になる

・なぜKPIを設定する必要があるのか?

・KPIを運用に定着させる進め方

 ・目標値はどう決めればよいのか?

 ・ダッシュボードは「見る人」ごとに分ける

・よくある質問

・まとめ

カスタマーサクセスのKPIとは

カスタマーサクセスのKPIとは、顧客が自社のサービスで成果を出せているかを、途中経過として測るための指標です。売上や解約数といった結果が出てからでは手を打てないため、その手前で動く数値を置いて先回りするという発想に立っています。

指標そのものより、「何が悪化したら誰が動くか」を決めることのほうが重要です。数値を並べただけのダッシュボードは、しばらくすると誰も見なくなります。

KGIとKPIはどう違う?

KGIは最終的に達成したいゴール、KPIはそこへ向かう途中の進捗を測る指標です。カスタマーサクセスであれば、NRR(売上継続率)や解約率をKGIに置き、オンボーディング完了率や利用頻度をKPIとして追う構成がよく使われます。

区別が曖昧になると、現場が動けなくなります。KGIは経営が見る数字で、月次で追っても改善アクションに直結しません。一方、KPIは担当者が今週の行動を変えられる粒度である必要があります。「この数字が下がったら何をするか」を1行で書けないものは、KPIとして機能していないと考えてください。

カスタマーサポートのKPIとは何が違う?

カスタマーサポートのKPIは「対応の速さと正確さ」を測るのに対し、カスタマーサクセスのKPIは「顧客が成果を出せているか」を測ります。問い合わせに素早く答えられていても、顧客がサービスを使いこなせていなければ解約は防げません。

両者は対立するものではなく、時間軸が違います。サポートは起きた問題への対応、サクセスは問題が起きる前の働きかけを担います。実務では、サポート側の応答率や一次解決率をサクセス側が参照する設計にすると、解約の予兆を早くつかめます。あふれ呼が続いている窓口では、つながらないこと自体が不満として蓄積している場合もあります。コンタクトセンター側の指標についてはコールセンターのKPI一覧で整理しています。

カスタマーサクセスの主要KPI10選

指標は4つの系統に分けると迷いにくくなります。継続しているか、収益が伸びているか、体験は良いか、実際に使われているか、の4つです。

カスタマーサクセスのKPI4系統

指標 計算式 系統と用途
解約率
(チャーンレート)
解約数 ÷ 期首の契約数 × 100 継続
事業の健全性
顧客維持率
(リテンション)
(期末顧客数 − 期中の新規顧客数)÷ 期首顧客数 × 100 継続
定着の度合い
NRR
(売上継続率)
既存顧客の当期売上 ÷ 同顧客の前期売上 × 100 継続
拡大まで含む
LTV
(顧客生涯価値)
平均単価 × 購買頻度 × 継続期間 収益
投資判断の基準
アップセル・
クロスセル率
追加契約に至った顧客数 ÷ 対象顧客数 × 100 収益
拡大余地
CSAT
(顧客満足度)
満足と回答した数 ÷ 回答総数 × 100 体験
接点ごとの評価
NPS 推奨者の割合 − 批判者の割合 体験
推奨意向
CES
(顧客努力指標)
「手間がかからなかった」の回答割合 体験
摩擦の大きさ
オンボーディング
完了率
完了した顧客数 ÷ 対象顧客数 × 100 活用
立ち上がりの成否
アクティブ率 期間内に利用した顧客数 ÷ 全顧客数 × 100 活用
離脱の予兆

継続系の3指標をどう使い分けるか

継続を測る指標は3つありますが、見えるものがそれぞれ違います。1つだけを追うと判断を誤ります。

解約率は件数と金額の両方で出す

解約率は最も分かりやすい指標ですが、単体で見ると判断を誤ります。金額の小さい顧客が多数抜けた場合と、大口が1社抜けた場合が、同じ数字として表れてしまうからです。件数ベースと金額ベースの両方で出すと、実態を取り違えません。

集計期間の取り方にも注意が要ります。月次の解約率を12倍して年率とする計算は、契約数が大きく動いている事業では実態から外れます。年間で見たいなら、年単位で集計し直してください。

NRRは既存顧客だけの成長を示す

NRRは、既存顧客だけで売上が伸びているかを示します。100%を超えていれば、解約があってもアップセルで補えている状態です。新規獲得の成果が混ざらないため、カスタマーサクセスの貢献を測るには最も適した指標といえます。

顧客維持率は分母の取り方で数字が変わる

顧客維持率は、期中に獲得した顧客を分子から除くのが要点です。この処理を忘れると、新規獲得が好調な月ほど数字が良く見え、実態を見誤ります。

収益系はカスタマーサクセスの投資判断に使う

LTVは、一人の顧客が取引期間全体でどれだけの利益をもたらすかを示します。この数字が分かると、カスタマーサクセスにどこまでコストをかけてよいかの上限が見えてきます。人員を増やす判断も、支援の手厚さを決める判断も、LTVが根拠になります。

計算するときは、売上ではなく粗利で出すほうが実務では使えます。サポート費用が重いサービスでは、売上ベースのLTVが実態より大きく出るためです。

アップセル率とクロスセル率は、既存顧客からの拡大余地を測ります。ここで注意したいのは、この2つを担当者の評価指標に直結させないことです。契約を増やすことが目的化すると、顧客にとって不要な提案が増え、かえって解約率が上がります。あくまで「顧客が成果を出した結果として拡大したか」を見る位置づけにしてください。

ヘルススコアで複数の指標をまとめる

指標が増えてくると、顧客ごとの状態を一目で判断しづらくなります。そこで使われるのが、複数の指標を重みづけして1つの数値にまとめるヘルススコアです。

構成要素は自社で決めます。利用頻度、主要機能の利用有無、問い合わせの発生状況、契約更新までの期間といった項目に点数を割り当て、合計を算出する形が一般的です。スコアが低い顧客から順に接触する運用にすれば、限られた人数でも優先順位をつけられます。

ただし、最初から精緻な設計を目指すと立ち上がりません。3〜4項目の単純な足し算から始め、実際の解約と照らし合わせながら重みを調整していくほうが早く実用に達します。解約した顧客が直前に何点だったかを振り返れば、閾値の目安も見えてきます。

体験系は「いつ聞くか」で意味が変わる

CSATは接点の直後に聞く

CSATは特定の接点についての満足度なので、問い合わせ対応の直後や、機能を使い終わった直後に聞くのが基本です。時間が経ってから聞くと、記憶が薄れて数字がぼやけます。

NPSは四半期以上の間隔で測る

NPSは関係全体への評価なので、四半期や半期といった長い間隔で測ります。CSATと同じ頻度で聞くと、回答者が疲れて回収率が落ちます。

CESは解約との相関を見るのに向く

CESは見落とされがちですが、解約との相関を追うなら有用な指標です。満足していなくても手間がかからなければ使い続ける顧客は一定数いて、逆に「毎回面倒」と感じている顧客は静かに離れます。

活用系は解約の先行指標になる

オンボーディング完了率とアクティブ率は、解約が起きるより前に動く数値です。ログイン頻度が落ちた顧客は、その時点ではまだ解約を申し出ていません。ここで気づけるかどうかが、カスタマーサクセスの成否を分けます。

なお「アクティブ」の定義は自社で決める必要があります。ログインしただけを含めるのか、主要機能を使ったことを条件にするのかで、数字はまったく変わります。定義を先に文書化しておいてください。

オンボーディング完了率についても同じことがいえます。「初期設定が終わった」を完了とするか、「最初の成果が出た」を完了とするかで、見える課題が変わります。前者だと数字は高く出ますが、その後の離脱を説明できません。導入支援の目的が顧客に成果を出してもらうことであるなら、後者に寄せた定義のほうが実態をつかめます。

利用が落ちた顧客への接触は、早いほど戻せる確率が上がります。3か月落ち込んでから連絡しても、その頃には代替手段が社内に定着していることが少なくありません。週次でリストが出る状態にしておくと、手遅れになる前に動けます。

自社の月間件数を左の列で探せば、予算のあたりが付きます。件数が10倍になっても月額が10倍にならないのは、月額に1,000件が含まれているからです。逆に言えば、件数が少ないうちは1件あたりの単価が高くつきます。月に数百件しかない業務であれば、自動化しても人件費との差が出にくいことがあります。

大事なのは金額そのものではなく、この計算を契約前にできるかどうかです。見積もりを受け取ったら「月額に何件まで含まれるか」と「超えた分は1件いくらか」の2つを確認してください。この2つが分かれば、件数が増えたときの費用を自分で計算できます。

フェーズ別に見るべきKPIの選び方

すべての指標を同時に追う必要はありません。顧客がどの段階にいるかで、見るべき数字は変わります。

フェーズ この時期の目的 主に見るKPI
導入期
(オンボーディング)
使い始められる状態にする オンボーディング完了率
初期設定までの日数
CES
定着期 日常業務に組み込んでもらう アクティブ率
主要機能の利用率
CSAT
拡大期 利用範囲と契約を広げる NRR
アップセル率
NPS
全期間 事業の健全性を確認する 解約率
顧客維持率
LTV

導入期に解約率を追っても、まだ解約が発生しないため何も見えません。逆に拡大期の顧客にオンボーディング完了率を聞いても意味がありません。フェーズごとに担当者が見る画面を分けると、現場の判断が速くなります。

設定の粒度も決めておく必要があります。全社の平均値だけを追うと、特定のセグメントで起きている悪化が平均に埋もれます。契約プラン別、業種別、担当者別のいずれかで分解できる状態にしておいてください。

KPI設定でつまずく3つの落とし穴

指標の選び方より、運用に乗らない原因のほうが厄介です。

指標を増やしすぎて追えなくなる

網羅性を求めると、20を超える指標を並べたダッシュボードができあがります。数が多いほど、どれが悪化しているかを判断する時間が増え、結果として誰も見なくなります。

現場が週次で見る指標は3つまでに絞ってください。残りは月次のレビューで確認する扱いにすれば、情報は失われません。優先順位をつけずに全部並べることが、実質的に優先順位をなくす行為になります。

取れないデータをKPIに置いてしまう

理屈として正しい指標でも、集める手段がなければ運用できません。よくあるのが、CSATやNPSをKPIに設定したものの、アンケートの回答が集まらず、母数の少ない数字で議論を続けてしまうケースです。

指標を決める前に、そのデータを誰がどうやって取るのかを確認してください。手作業での集計が必要な指標は、担当者が忙しくなった月から欠測が始まります。

取れないデータをKPIに置いてしまう

理屈として正しい指標でも、集める手段がなければ運用できません。よくあるのが、CSATやNPSをKPIに設定したものの、アンケートの回答が集まらず、母数の少ない数字で議論を続けてしまうケースです。

指標を決める前に、そのデータを誰がどうやって取るのかを確認してください。手作業での集計が必要な指標は、担当者が忙しくなった月から欠測が始まります。

解約が起きてから気づく

解約率だけを追っている組織では、数字が動いた時点で既に顧客は離れています。これは指標の問題ではなく、先行指標を置いていないことが原因です。

利用頻度の低下、問い合わせ内容の変化、担当者の交代といった予兆を、解約率とセットで見る設計にしてください。予兆を検知したら誰が接触するかまで決めて、はじめて先行指標として機能します。

指標をどうやって集めるか?

KPIの設計と同じくらい重要でありながら、解説記事の多くが触れないのがこの点です。指標は自動で集まるものと、こちらから取りにいかなければ集まらないものに分かれます。

指標の種類 集め方 つまずく点
利用ログ系
(アクティブ率など)
プロダクトの操作ログから自動集計 定義が曖昧だと
数字が揺れる
契約・売上系
(解約率・NRR)
契約管理システムから自動集計 解約日の定義が
部門でずれる
体験系
(CSAT・NPS・CES)
アンケートで顧客に直接聞く 回収率が低く
母数が足りない
定性の声
(VOC)
問い合わせ内容・自由記述を分類 集計が手作業で
続かない

アンケートの回収率が上がらないのはなぜか?

メールでアンケートを送る方法は、開封されなければそこで終わります。回答してくれるのは、強い不満か強い満足を持つ層に偏りやすく、中間層の声が抜け落ちます。この状態の数字で施策を決めると、判断を誤ります。

回収率を上げる要点は、顧客の手間を減らすことと、接点の直後に聞くことの2つです。設問を1問に絞る、5段階を押すだけで終わらせる、といった設計が効きます。

電話窓口を持っている場合は、通話の直後にその場で聞く方法があります。用件が終わった直後にIVRで満足度を尋ねる形なら、顧客は電話を切らずに回答でき、記憶が最も新しい状態の評価が取れます。実際に、GMOペイメントゲートウェイ株式会社ではCS調査IVRを導入し、お客様の声を継続的に収集する体制を整えています(出典: GMOペイメントゲートウェイ株式会社の導入事例)。ネスレ日本株式会社では、SMS送信APIでリアルタイムに顧客の声を回収し、顧客体験とVOCの品質向上につなげました(出典: ネスレ日本株式会社の導入事例)。

聞き方の設計は慎重に行ってください。当社が50〜70代の男女241名に実施した調査では、自動音声応答全般への受容度は31.6%にとどまる一方、用途を特定したシーン別では70.5%が肯定的でした(出典: 消費者調査)。長い設問を自動音声で読み上げれば離脱しますが、用件の直後に1問だけ聞く形なら受け入れられやすくなります。

電話窓口はKPIの先行指標になる

解約の予兆は、プロダクトの利用ログより先に電話窓口に現れることがあります。同じ機能についての問い合わせが特定の顧客から続く、担当者が交代した連絡が入る、といった変化は、ログイン頻度が落ちるより前に起きています。

この情報を活かすには、問い合わせ内容を分類して集計できる状態にしておく必要があります。分類の考え方はボイスボットと相性が良い業務の記事も参考になります。通話の記録が担当者のメモに留まっていると、カスタマーサクセス側からは見えません。IVR(自動音声応答)で用件別に振り分けておけば、どの種類の問い合わせが増えているかを件数として把握できます。

なぜKPIを設定する必要があるのか?

理由は、カスタマーサクセスの成果が見えにくい仕事だからです。営業なら受注件数で貢献が示せますが、カスタマーサクセスの成果は「解約しなかった」という起きなかった出来事に表れます。何もしなくても継続した顧客と、支援したから継続した顧客を、数字なしで区別することはできません。

指標がないと、活動が属人化します。経験のある担当者は勘で優先順位をつけられますが、その判断は本人以外に引き継げません。ヘルススコアのような形で判断基準を数値にしておけば、着任したばかりの担当者でも同じ順序で動けます。

社内での位置づけも変わります。カスタマーサクセスはコストセンターと見なされやすい部門ですが、NRRのように売上と直結する指標を持っていれば、投資すべき部門として説明できます。予算や人員の交渉で数字を出せるかどうかは、実務上かなり大きな差になります。

もうひとつ、顧客との会話が変わる効果もあります。「ご利用状況はいかがですか」と聞くより、利用データを見たうえで「この機能を使われていないようですが、何かお困りですか」と切り出すほうが、話が具体的に進みます。

KPIを運用に定着させる進め方

最初から完成形を目指さず、3か月単位で育てるのが現実的です。

初月は、既に自動で取れている指標だけで運用を始めてください。契約管理システムと利用ログから出せるものに絞れば、集計の手間なく回り始めます。この段階で「数字を見て何かを決める」習慣をつくることが目的です。

次に、悪化したときのアクションを1指標ずつ決めます。アクティブ率が閾値を下回ったら担当者が連絡する、といった単純なもので構いません。アクションが紐づいていない指標は、翌月には見られなくなります。

体験系の指標を足すのは、その後です。アンケートの設計と回収の仕組みには準備が要るため、運用が回り始めてから着手するほうが失敗しません。

四半期ごとに、追っている指標を見直してください。事業のフェーズが変われば、見るべき数字も変わります。使われなくなった指標を惰性で集計し続けることも、地味に工数を奪います。

目標値はどう決めればよいのか?

他社の水準を持ってくるのではなく、自社の直近実績を基準に置いてください。同じ「解約率」でも、契約期間の長さや料金体系が違えば水準はまったく変わります。外部の数字と比べても、改善したかどうかの判断材料にはなりません。

目標を置く際は、期限と担当を必ずセットにします。「アクティブ率を上げる」では誰も動けませんが、「今四半期中に、導入3か月以内の顧客のアクティブ率を前四半期比で改善する。担当は導入支援チーム」まで具体化すれば行動に移せます。曖昧な目標が並ぶダッシュボードは、報告用の資料になって終わります。

達成できなかったときの扱いも先に決めておいてください。未達を責める運用にすると、翌期から達成しやすい目標しか出てこなくなります。未達の原因を分解して次の施策に反映する場にするほうが、指標は長く使われます。

ダッシュボードは「見る人」ごとに分ける

同じ画面を全員が見る設計にすると、誰にとっても情報が多すぎる状態になります。経営が見る画面はKGIと全体傾向、現場が見る画面は担当顧客の状態と要対応リスト、というように分けてください。

現場向けの画面で重要なのは、数字よりも「次に誰へ連絡すべきか」が分かることです。ヘルススコアの低い順に顧客が並び、直近の問い合わせ内容まで見えれば、その画面から行動に移れます。数値の羅列で終わる画面は、いずれ開かれなくなります。

更新頻度も用途に合わせてください。利用ログ由来の指標は日次で更新する価値がありますが、NPSのような四半期の指標を日次で見ても変化はありません。更新されない数字が並んでいると、画面全体が古く見えてしまいます。

よくある質問

Q. カスタマーサクセスのKPIは何個くらい設定すべきですか?

A. 現場が週次で見る指標は3つまでに絞るのが実務的です。残りは月次のレビューで確認する扱いにすれば情報は失われません。指標が多いほど判断に時間がかかり、結果として誰も見なくなります。


Q. KGIとKPIはどう使い分ければよいですか?

A. KGIは経営が見る最終ゴール、KPIは担当者が今週の行動を変えられる粒度の指標です。NRRや解約率をKGIに置き、オンボーディング完了率やアクティブ率をKPIとして追う構成がよく使われます。「この数字が下がったら何をするか」を1行で書けないものは、KPIとして機能していません。


Q. 解約率は件数と金額のどちらで見るべきですか?

A. 両方で出してください。件数ベースだけでは、小口が多数抜けた場合と大口が1社抜けた場合が同じ数字に見えます。金額ベースを併記すると、事業へのインパクトを取り違えません。


Q. NPSとCSATはどちらを使えばよいですか?

測る対象が違うため、目的で選びます。CSATは問い合わせ対応など特定の接点についての満足度で、その直後に聞きます。NPSは関係全体への評価なので、四半期や半期といった長い間隔で測ります。同じ頻度で両方聞くと回答者が疲れ、回収率が落ちます。


Q. アンケートの回答が集まりません。どうすればよいですか?

A. 顧客の手間を減らし、接点の直後に聞くことの2点が効きます。設問を1問に絞り、5段階を押すだけで終わる形にしてください。電話窓口があるなら、通話の直後にその場で聞く方法もあります。メール送付は開封されなければ終わるうえ、回答が極端な層に偏りがちです。


Q. 立ち上げたばかりでデータがありません。何から始めればよいですか?

A. 既に自動で取れている指標だけで運用を始めてください。契約管理システムと利用ログから出せるものに絞れば、集計の手間なく回り始めます。まず「数字を見て何かを決める」習慣をつくり、体験系の指標は仕組みが整ってから足すのが失敗しない順序です。

まとめ

カスタマーサクセスのKPI設計は、指標を何個並べたかではなく、悪化したときに誰が動くかまで決まっているかで成否が分かれます。着手するなら、自動で取れている指標を3つに絞り、それぞれにアクションを紐づけるところから始めてください。

体験系の指標を足す段階では、集める手段が壁になります。電話窓口をお持ちであれば、通話直後に1問だけ聞く形が最も回収率を確保しやすい方法です。株式会社電話放送局では、CS調査IVRの設計から運用改善まで伴走しています。顧客の声の集め方にお悩みの方は、導入事例もあわせてご覧ください。

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監修者情報

メーカーのコールセンター運営管理に従事し、自らIVRを導入。
不要な入電を抑制しつつ売上向上を実現するなど、現場視点で成果を創出。電話放送局では営業マネージャーとして10年以上従事し、クラウド型IVRの業界シェア1位獲得に貢献。
コロナ禍におけるユーザーのデジタル行動変容を受け、マーケティング部門を立ち上げ、責任者に就任。インサイドセールスを統括し、営業部門との連携を強化。自動音声応答の導入、運用、集客、営業の幅広い経験を有する。
IVRおよびコールセンター市場における20年以上の知見を活かし、ユーザーの検索行動やニーズを深く理解したマーケティング戦略を展開。
検索連動広告の運用経験を基に、現場で役立つ実践的な情報を発信し、読者のビジネス成功を力強くサポートします。

監修者 前田泰延(株式会社電話放送局) マーケティング責任者 営業部営業推進課 課長 前田泰延

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